前回・前々回に続いて本日も北海道旅行で出会ったステキなレストランをご紹介したいと思います。
この日は「余市 SAGRA」のランチを楽しんだ後でニセコに移動。
ディナーに訪れたのはこちらのレストラン。
「ジェ ラ パタット」。
ニセコの中心エリアから離れ、暗く細い森の中の道を進み、ほんとうにこんなところにフレンチレストランなんてあるの?と心細くなったころにようやく見えてくるファサードの灯り。
レストランにたどり着くまでがちょっとしたアドベンチャーです。
フランス語の「ジェ ラ パタット(J’ai la patate)」とは直訳すると「じゃがいもを持っている」と言う意味で、転じて「私は元気です!」と言う意味で使われる慣用句なんだそうです。
じゃがいもの一大産地であるこのエリアのレストランにふさわしいネーミングですね。
「ジェ ラ パタット」の清野弘敬シェフはこの倶知安町の出身で、札幌の名店「バンケット」でスーシェフを勤めたこともある実力派シェフ。
2018年に生れ故郷であるこの地に自身のレストランをオープンさせました。
ダイニングはすっきりとスタイリッシュにまとめられ、天井が高く開放感のある空間です。
ディナータイムでは窓の外には漆黒の森が広がるのみですが、きっと天気の良いランチタイムなどは気持ち良いことでしょう。
ディナーは5,000円から用意されていますが、せっかくニセコまで来たならば、と言うことで8,500円のコースを頂くことに。
【アミューズ】
「マッカリーナ」や「ロカンダ 」と言ったこのエリアの人気レストランに重用されているニセコの農園「LaLaLa Farm」のほおずきを使ったアミューズ。
パリッとカラメリゼされた表面の香ばしさとほおずきの実の甘酸っぱさが食欲を刺激してくれます。
【前菜】
前菜のひと皿目の食材は鮪でした。
絶妙に火入れされた本鮪の充実感のある旨味を、真紅のビーツのソースがさらにリッチに仕上げます。
アクセントにはオリーブ、すだち、バルサミコ酢を使ってさっぱりと味を整えます。
【前菜】
ふた皿目の前菜はこれまた「LaLaLa Farm」の花ズッキーニを使ったもの。ズッキーニもこのエリアの名産品です。
ベニエのなかには海老、チーズ、ベシャメルソースを仕込み、濃厚な味わいに仕上げています。
また、かわいらしく添えられたクーリ仕立てのトマトの甘さも印象的です。
【お魚料理】
ヴァプールにした鯛は非常に上品な味わい。
ソースは軽めに仕上げて鯛の持ち味をじゃませず、それでいて甲殻類の香ばしさを上手に纏わせています。
そして、鯛と並んでもうひとつの主役がじゃがいも。
このじゃがいもは「倶知安じゃが五四〇」と呼ばれる、なんと540日間の熟成をかけたじゃがいも。
室温2℃、湿度80%に保たれた熟成庫で540日寝かされたじゃがいもは、そのでんぷんが糖分に変化して濃厚な甘さを持っているそうです。
頂いてみるとねっとりとした食感と得も言われぬ甘さにびっくり。
「ジェ ラ パタット」のネーミングにふさわしい、じゃがいもへのこだわりですね。
メインディッシュの肉料理は北海道産牛のヒレ肉、同じく北海道産牛のほほ肉、そして、十勝どろ豚ロースの3種類からのチョイスとなります。
どの食材も魅力的ですが、この夜にぼくが選んだのはこちら。
【お肉料理】
きめ細やかな肉質のなかにしっかりとした肉の味わいを持つ牛ヒレ肉に、ポルト酒の柔らかな味わいが絡みあい、上質なテイストに仕上がっています。
品格のある端正なメインディッシュ。満足です。
デセールは桃とアールグレイのアイスクリーム、ルバーブのファーブルトン、フォンダンショコラの3種類。
せっかくなので、この界隈の食材を使ったひと皿をチョイス。
【デザート】
ルバーブの甘酸っぱさをリッチな香りのファーブルトンで包んだデセールは洗練された味わいでありつつも、どこか懐かしさを覚える温もりのあるテイスト。
すばらしいコースを締めくくる良いデセールでした。
料理はいずれも奇を衒うことなく、ひと皿ひと皿丁寧に、真摯に調理されたことが垣間見えるクオリティの高いもので、シェフの確かな技倆と北海道の食材に対する愛情がうかがえました。
ニセコの自然に抱かれた心地よい空間で頂く、ニセコの大地にしっかりと根を下ろしたかのような豊潤な料理の数々。実に良いディナーでした。
ニセコを訪れた際にはまたぜひ立ち寄ってみたいレストランです。
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・店名 ジェ ラ パタット
・住所 北海道虻田郡倶知安町樺山30-149
・電話 0136-23-4622
・備考 事前に場所の確認を。
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前回のブログに続き北海道グルメツアーの2日目の食事をご紹介したいと思います。
2日目は札幌を後にして小樽〜余市方面へ。
若いころに6年ほど札幌に住んでいたので小樽にもたくさんの想い出がありますが、昔話を始めると長くなるので割愛(笑)。
で、2日目のランチですが、この日向かったのは余市の果樹園やワイナリーが密集するエリアにポツンと佇むこちら…。
「余市SAGRA」。
街道に看板もなく、風景にしっくりと溶け込んだ佇まいにいちどは通り過ぎてしまいました。
前日に訪問した「アグリスケープ」もそうですが、まさかこんなところに?と言うロケーション。
もともとは札幌の人気イタリアンだった「SAGRA」がロカンダ(宿泊施設を備えたレストラン)としてこの余市の地で再スタートを切ったのが2017年。以来、余市・後志地方の豊かな食材を活かした地元密着型のイタリアンとして人気を博しています。
ランチのコースは5,000円の1種類のみ。
食材、調理法についてはシェフにおまかせのスタイルで、12時きっかりにすべてのテーブルがいっせいに食事をスタートさせると言うシステムです。
それではさっそく料理の紹介を。
その前にひとつ。
実は「余市SAGRA」のそれぞれの料理の名称はたいへんユニーク。
テーブルのうえにその日のメニューが置かれているのですが、メニューを読んでもちんぷんかんぷん。
料理を頂いて、初めて料理の名称の意味がわかると言う仕掛け。なので、ネタバレになりかねませんので、料理の名称は最初の料理だけに留めておきます。
最初の料理は…。
こちらは河豚のカルパッチョ。
色鮮やかな食材は「タマゴダケ」。写真では見たことありますが、実食するのは初めてです。殻に入っているときは生食できるそうですが、成長してしまうと生では食べられないそうです。河豚の上に乗せられているタマゴダケは生のまま。また、河豚の下にはソテーにしたタマゴダケが。
ところで、なぜゆえに「アンディ」なのか。
まさかの…。「アンディ・フグ」?ダジャレかい!
2品目の食材は「ふくらぎ」と「ぶり」。
「ふくらぎ」とは生後7~8か月の体長30~40cm、体重500g~1.0kgに成長したぶりの幼魚のことを言うそうです。
つまり、成長段階の違う2種類のぶりの食べ比べと言うことですね。
「ふくらぎ」は「酸葉(すいば)」を添えてあっさりと頂きます。
「ふくらぎ」より脂ものって味わいも強いぶりは、いちど魚醤に漬け込んで「ヅケ」にしたうえで、さらに胃袋を韓国料理のチャンジャのように仕立てて添えています。
ぶりの上に黄色く見えるのはぶりのからすみ。
ねっとりとした食感のぶりの旨味を胃袋のチャンジャが増幅するような印象。からすみの塩気も良いアクセントです。
3品目の食材は「めじまぐろ」。
稲藁でスモークをかけて香ばしく仕上げ、たんぽぽを添えて。
めじまぐろ自体の味わいも爽やかで、非常に美味。
4品目はいわゆる「ズッパ・ディ・ペッシェ(イタリアの魚のスープ)」なのですが、一見、スープの要素が見当たりません。
「ズッパ・ディ・ペッシェ」は、もともとはパンに染み込ませて食べた料理であることから、こちらの「ズッパ・ディ・ペッシェ」もパンにスープを染み込ませてあるそうです。
トマトの上には平目、そして可憐な小さな花はにらの花。
5品目の食材は鯖。
ピノ・ノワールのビネガーを使いまろやかな酸味が心地よいひと品。
パスタには見たことのないきのこがふんだんに。
このきのこは「キンチャヤマイグチ」と言う種類のものだそうです。
その名の通り「金茶」色をしているのですが、火を通すとこのように黒っぽくなってしまいます。
肉料理はシンプルに豚肉の持つ力強さを堪能します。
非常に味わいの良い豚肉に、アクセントとしてうどの実のマリネが添えられています。
ドルチェは西瓜のジェラートにパンナコッタを添えて。
過ぎ行く夏に想いを馳せるような良いドルチェでした。
実は予約の電話を掛けたときに、ちょっとぶっきらぼうな対応だったので気難しいシェフなのかな、と警戒していたのですが、実際にお会いしてみると(茶目っ気のあるメニューからもわかる通り)そんなことはなく、朗らかな、料理と余市のテロワールを愛する好漢でございました。
ランチだけでも十二分に料理を堪能できましたが、時間とお金に余裕があるかたには、宿泊してゆっくりディナーを楽しむと言うスタイルもオススメ。
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・店名 余市SAGRA
・住所 北海道余市郡余市町登町987-2
・電話 0135-22-2800
・備考 特になし。
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3連休を利用しておよそ1年ぶりの北海道ツアーへ。
今回も観光は二の次三の次四の次くらいの食べまくり喰いまくりの北海道ツアー。
札幌〜余市〜ニセコ〜真狩とまわって出会った道央エリアのステキなレストランをゆるゆるとご紹介していこうと思います。
初日のランチに訪れたのは札幌市内の「小別沢(こべつざわ)」にある農園レストラン、「アグリスケープ」。
住所は札幌市内ですが、「札幌の秘境」などとも呼ばれる大自然に抱かれたこのエリア。
レンタカーにビルトインされたナビゲーションの案内ではたどり着けず、iPhoneのナビゲーションも動員してようやく到着したのでした。
実は今回の旅では5年前に訪れた際の料理がとても印象に残っている円山公園の「SIO」を再訪しようと考えていたのですが、札幌在住のグルメな友人に相談したところ、その「SIO」がことしの4月に姉妹店をオープンしたので、そちらを試してみては?との情報を得て今回は「アグリスケープ」を訪問してみたのです。
レストランでは農作物のみならず、鶏の飼育も手がけ、そしてもうすぐ豚の飼育も始まるとのこと。
レストランの窓からはこんなに間近に養蜂の様子も眺めることができます。
今回頂いたコースは「楓」(4,000円)。
ランチ限定の軽めのコースとなります。
それでは、自家農園で収穫された野菜をふんだんに使ったコース料理をご紹介しましょう。
アミューズはブラーニュ地方の焼き菓子である「ファーブルトン」を模したもの。
生地に包まれた甘い甘いとうもろこしと表面の塩気のコントラストが冴えるステキなアミューズです。
まずはトマトの鮮やかな色合いに目を奪われるスープ。
そして頂いてみると、このトマトの豊かな甘さに驚きます。
自家農園の野菜とハーブを使ったサラダも、その可憐な彩りと美しいプレゼンテーションで目を楽しませてくれます。
ひとつひとつの野菜の味わいを活かすためにソースはあっさりと。
土の力を感じる野菜の味わいの濃さが印象的です。
お次は新じゃがいもを使った2つのバリエーション。
まずはピンク色が美しい「ノーザンルビー」と「キタアカリ」。
こちらは根室半島の付根に位置する別海町産のサフォーク種のラムを煮込んだソースで頂きます。
このラム肉がたいへん美味でした。
もう1種は男爵の小芋のロースト。
新じゃがいもの香りと甘さをストレートに楽しみます。
メインディッシュの前にパスタ料理がひと皿。
この日はズッキーニとアンチョビを使ったソースで仕上げてありました。
メインディッシュは豚肉でした。
噛み締めると肩ロースのしっかりとした旨味が舌の上に溶け出します。
シャンパーニュを使ったソースはあくまでも控えめで、豚肉ならではの力強さをストレートに演出します。
力感溢れるメインディッシュ、とても気に入りました。
アイスクリームにバジル風味のジュレを添えた清涼感のあるデセールで素晴らしいランチは終幕。
アミューズからデセールまで、いずれの料理も素材に対するシェフの愛情と洞察力が感じられるすばらしいものでした。
札幌中心部からはやや遠く、また公共交通機関では訪問が困難ですが、わざわざ足を延ばして訪問するだけの価値がある、ステキなレストランでした。
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・店名 アグリスケープ
・住所 北海道札幌市西区小別沢177
・電話 011-676-8445
・備考 事前に場所のチェックを。
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この日はひさしぶりに散歩がてら北品川へ。
このあたり、JR品川駅から至近距離ですが、昭和な雰囲気の船だまりが残っていたりしていてなかなか雰囲気のあるエリアであったりします。
ちょっと味濃いめですが、ボリュームたっぷりなところと下町らしいリーズナブルな値付けは好感度高いですね。
鰻高騰の折りになんとも嬉しい2,700円の鰻重。
ちなみに「割烹 武若」の鰻重、10年前はたったの1,700円だったんですよね。
この10年でずいぶん値上りしてしまいましたが、それでも相場よりはずいぶんお安めです。
鰻はこぶりで身に厚みはありませんが、このお値段を考えれば健闘していると言えるのではないでしょうか。
鰻にもご飯にもたれがけっこう濃いめになじんでいますので、個人的にはもう少し薄味でも良いかな、と思います。
ま、そんなちょっとした注文はありますが、今どきこのお値段で鰻重が食べられることは嬉しい限りです。
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・店名 割烹 若竹
・住所 東京都品川区北品川1-24-26
・電話 03-3471-9329
・備考 冬期はふぐ料理も。
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昨夜はひさしぶりに千駄ヶ谷で夕飯。
約束の時間まで余裕があったので、外苑前駅からぶらぶらと建設中の新国立競技場などを眺めつつ千駄ヶ谷まで散歩。
少し涼しくなってきて街歩きには心地よい気候ですね。
訪問したのはこちら。
1979年創業の老舗ステーキハウス「CHACOあめみや」。
前回訪問したのは2013年。6年ぶりの再訪です。
この日もあいかわらずの大人気で、早めの時間帯は満席でした。20時からと少し遅めの時刻から夕食スタートです。
前菜はこちら。
海老はちょっと固めで味わいにも少し乏しい感じでしたが、まあ、お値段もお安めですし仕方ないところでしょう。
サラダ・ガーリックトースト・温野菜付き鋳物取り皿・シャーベット・コーヒーはセットになっていて600円。
これだけ付いてたったの600円と言う値段の根拠が謎ですが、何も言わずにこのセットを付けろ、と言うことですね。
20分ほどでダイニングのチャコールグリルで仕上げられたステーキが到着。
こちらが名物の1kgのブロックステーキ。
スタッフが手際よく切り分けてくれたブロックのなかははっきりとしたロゼ色。
こちらを自分の鋳物の皿で適度に火を通して頂きます。
表面は炭火でカリッと香ばしく、なかはしっとりとジューシー。
オーストラリア産穀物肥育牛のリブロースは癖がなく、赤身の味わいもしっかりしています。
醤油、ガーリック、マスタードも用意されていますが、肉の味をストレートに楽しむには塩と胡椒だけでシンプルに頂くのがオススメですね。
この日は3名での訪問だったので、このブロックでひとりあたり約333g。
もう少し食べられるハズ…と言うことで、違う部位も行ってみましょう。
こちらはオーストラリア産のヒレ。10オンスなので約280gとなります。
このヒレも良かったですね。
しなやかな食感と予想よりリッチな肉自体の味わいに満足感が高い部位でした。
ひとり400g強のステーキを頂いてお会計はひとり7,000円台。
コストパフォーマンスも相変わらず上々でした。
決していま風のお店ではありませんが、シンプルに、ストレートに肉の旨味を楽しませてくれる佳店です。
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・店名 CHACOあめみや
・住所 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-7-12
志水ビル 地下1階
・電話 03-3402-6066
・備考 服に臭いがつきますのでご注意を。
・参考記事 2013年03月21日「千駄ヶ谷 チャコあめみや」
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この日は友人と銀座で夕食を摂ることに。
とりあえず訪れたのは銀座八丁目の「つばき食堂」。
ウマい焼魚か何かで渋く夜定食でも、と思ったのですが、それほど遅い時刻ではなかったのにもかかわらず看板が仕舞われ店じまいの様子。臨時休業でしょうか…。残念。
そこで踵を返し向かったのが同じく銀座八丁目の老舗イタリアンであるこちらのお店。
テーブルクロスは赤のギンガムチェック。
(ぼくは訪問したことありませんが)かの有名な飯倉の「キャンティ」のテーブルクロスもこんなテイストでしたよね。
往時の日本におけるイタリアンのインテリアのシンボリックな要素のひとつがこれですね。
それでは料理のご紹介を。
ガーリックチップがパラパラッと散らされた個性的なサラダ。
ローストビーフもたっぷり、ドレッシングの味わいも具材にマッチしていて良いですね。
「銀座シシリア」を訪問したひとがほぼ100%オーダするメニュー。
薄手のパリッとした四角い生地のピッツァは「銀座シシリア」の定番メニュー。
ワイングラス片手におつまみとして頂くのにちょうど良いサイズ感と言うことなんでしょうね。
少し塩気が立ち過ぎのきらいはありますが、熱々の茄子とチーズの味わいが食欲をそそるひと品。
ソースはデミグラスソースとガーリックバターソースの2種類からのチョイス。
この日はデミグラスソースを選んでみました。
決して驚きのある味わいではありませんが、いかにも老舗の作る定番メニューと言った趣で安心して頂けるひと皿。飾らない素朴な料理の良さってありますよね。
腹いっぱい頂いてひとり3,000円程度とお財布に優しいのも嬉しいポイント。
この日も店内は大賑わい。いつまでも末長く営業して頂きたい銀座の老舗です。
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・店名 銀座シシリア
・住所 東京都中央区銀座8-2-8
京都新聞銀座ビル 地下1階
・電話 03-3572-7828
・備考 特になし。
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