大崎 レストラン アロム

先日の「荒木町たつや」に続き本格的な外食第2弾と言うことで、この夜は大崎へ。

 

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訪問したのは「レストラン アロム」。

住所は品川区北品川。大崎駅から目黒川を渡り御殿山のふもとあたり、といったエリアです。

ガラス張りのファサードからは美しくワインボトルがディスプレイされたウォークインワインセラーが見え、とてもスタイリッシュな印象を受けますが、扉の横の飾り窓にはなぜかデザイン性皆無のフォントで「レストラン アロム」と印刷された「額」が掲げられています。

 

あとで知ったのですがワインセラー部はワインのインポータである株式会社ヴィノラムが経営するワインショップ「アロムヴェール」で、レストランはこのセラーを通った奥のスペース。

店舗の外には「アロムヴェール」の看板しか有りませんので、レストランの入口がわかりづらいゆえの「額」なんでしょうけど、それにしても、ねえ。

 

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レストラン アロム」はもともと神楽坂に有ったフレンチレストランで、経営母体は株式会社ヴィノラム。

この大崎の現在の店舗には2年ほど前に移転されたとのこと。

この大崎の店舗の場所には同じく株式会社ヴィノラムが経営する「ラ・クール・ド・コンマ」と言うフレンチレストランがあり、両者が入れ替わるかたちで移転したと言うわけですね。

 

ファサードは妙な「額」以外はスタイリッシュですが、インテリアはファミレスライクで(これはどうか毒舌と思わないで頂きたい。このレストランを訪問した別のかたのブログにもそのように書かれていました)、椅子についてはもしかしたらファミレスのほうが掛け心地が良いかもしれないってくらいの代物。

長時間腰掛けることになるのですから、飲食店にとって椅子ってとっても大事だと思うのですが、椅子のチョイスに手抜き、コストダウンが見えると残念な気持ちになります。

高けりゃ良いってものではないのですが、往々にして安モノの椅子は臀部から大腿部の面圧が適切に分散されず血行が悪くなったり腰に負担が掛かったりするのです。

 

…なんの話でしたっけ?

そうそう「レストラン アロム」のお話でした。

ぼくにとってはこの日が初訪問だったのですが、訪問前にちょっとインターネットで検索して驚いたのです。と言うのも、この「レストラン アロム」の支配人は岡部一己氏ではありませんか。

岡部氏の名前はフレンチ好きのかたなら一度や二度は聞いたことが有るかと思います。麹町の名店「オー グー ドゥ ジュール」のオーナにして支配人だったかた。日本一のサービスなんて言われていたかたですね。

 

しかしぼくは過去にちょっと因縁がありまして、もう20年近くも前のことですが、氏に直々にクレームをつけたことがあったのです。

その夜はぼくにとっては大事なお客様をもてなす席で、たしか「オー グー ドゥ ジュール」の初訪問日だったと記憶しています。

 

しかしその日は岡部氏にとってはもっと大事であろう常連客らしきテーブルがあり、かつ、ぼくたちのテーブルは割と下戸なメンバーが集まってしまったり(これはぼくのリサーチミスで、下戸なメンバーが多かったらもっと別のレストランのチョイスをすべきだったと思います)、そのうちのひとりが大遅刻すると言うアクシデントがあったりとして、氏としてもサービスするに値する客では無いと思われたのでしょう、ぼくたちのテーブルはほとんどほったらかされ、料理の説明も無く、まあまあヒドい扱いを受けたのでした。

 

で、翌日ぼくは氏に電話を掛け、30分ほどもネチネチとクレームを入れたのです。

確か「日本一のサービスだかなんだか知らねーけど天狗になってんだろ。初心を思い出したほうがいいぞ」みたいなことを言った記憶があります。

思い返すとぼくもまあまあヒドいこと言ってますよね(笑)。

だいぶイヤな感じだったと思います。

 

氏としてはおそらく、こいつメンドくさいから謝らないと何時間でも電話切らないぞ、と思ったのでしょうね、内心どう思われたかは知りませんが、いちおう形式上は謝罪してくれたので、ぼくもこの件については水に流すことにして、その後は日本橋の支店「オー グー ドゥ ジュール メルヴェイユ」をしばしば訪問したりしたものでした。

 

日本橋の「オー グー ドゥ ジュール メルヴェイユ」は現在「ラペ」の松本シェフが作る料理のクオリティが素晴らしく、とても良いレストランでした。

 

…とても良いレストラン「でした」?

そうなんです。

その後「オー グー ドゥ ジュール」グループは新丸ビルに支店を出したりと飛ぶ鳥も落とす勢いで業容を拡大していったのですが、吉兆創業者の湯木貞一氏の「料理屋と屏風は広げすぎると倒れる」と言うヤツでしょうか、2016年に経営破綻してしまいました(そのあたりの経緯はこちらに詳しく書かれています)。

 

そんな思い出のある岡部氏ですが、お目に掛かるのは実に十数年ぶり。

氏もいろいろたいへんな時期があったようですがお元気そうで安心しました。

 

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この夜は全6品にワインがペアリングされた8,910円のディナーを頂きました。

まずはこちらから。

  • クレームブリュレ

こちらはパルメザンチーズをクレームブリュレ風に仕立てたアミューズ。

パリッとカラメリゼされた表面をスプーンで割ると滑らかなテクスチャのチーズのクリーム。

 

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  • 本日の前菜

鮮やかなジュレの赤はビーツの色。

ジュレの下には帆立貝と「リゾーニ」と言う米のような形をしたパスタ。ジュレに添えられたディルの香りのサワークリームがちょっとしたアクセントになっています。

イメージは「冷たいボルシチ」なんだそうです。

ビジュアル的にも楽しい前菜ですね。

 

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  • 季節のポタージュ

「パンプ金時」と言うさつま芋を使ったポタージュ。

アクセントにはシナモンの香り。

 

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  • 鮮魚のポワレ

メインディッシュのひと品目は明石産の真鯛をポワレに。ガルニチュールはまこもだけとロマネスコ。

しっとりと仕上げられた身には真鯛らしい味わいが上手に閉じ込めらていて、皮目の香ばしさと相まってこの真鯛のポワレはなかなかに上等なひと品でした。

 

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  • 本日のお肉料理

肉のメインディッシュはフランス産の鴨胸肉のロースト。

こちらも上質なメインディッシュでしたが、鴨自体に関してはもう少し鴨らしい肉の力感が感じられると嬉しいですね。もっともこれは鴨の時季的な問題が大きな要因と思われますので、シェフの力量に帰すべき問題ではありません。

全体的には過不足なく上等に仕上げられていて満足感の高い料理でした。

 

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  • スープ プディング

スープ仕立ての滑らかなプディング。カラメルの部分はソルベに仕立ててあるのがおもしろいですね。大人が楽しめるプディングです。

 

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料理はいずれも端正に仕上げられ、これ見よがしのギミックなどはありませんが素材の持ち味を活かし実直に仕立てられた味わいは好ましいものでした。

 

料理のクオリティが上々だっただけに、ちょっと店舗の雰囲気がチープなところが惜しまれます。もちろん、逆のパターン、雰囲気は良いけど料理がダメ、ってヤツよりはるかに良いですけどね(笑)。

 

ワインは併設のワインショップの「店頭価格+コーキッジ料(抜栓料)」で楽しむことができますので、ワイン好きなかたにはオススメです。

 

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・店名   レストラン アロム

・住所   東京都品川区北品川5-6-1

      大崎ブライトタワー 1階

・電話   050-5487-3210

・備考   特になし。

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荒木町 荒木町たつや

ようやく緊急事態宣言も明け、ほんとうにひさしぶりに友人たちと外食に出掛けたのでした。

 

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向かったのは荒木町。

駅で言いますと曙橋と四谷三丁目の間に位置するあたりですね。

自動車がひしめきあう新宿通りから坂を下ればそこは無数の看板に明りが灯る酒と料理の街。かつては花街だったと言う風情をそこはかとなく感じる、趣のある街並みです。

 

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この日訪れたのは初訪問となる「荒木町たつや」。

8席のカウンター席は予約で数ヶ月先まで埋まっていると言うプラチナシート。

ぼくも人並みにいわゆる予約困難店などと呼ばれる飲食店に行ってみたいと言う気持ちは有るのですが、なにせ根がものぐさなものですから、実際に電話を掛けまくったり予約のためだけに店を訪問したり、と言った行動がなかなかできません。

この日もグルメな友人がだいぶ前に予約してくれていたお席におじゃましたのでした。ありがたや。

 

「荒木町たつや」は2021年のミシュランガイドでも一つ星を獲得。

こちとらミシュランガイドに掲載されたからと言って訪問の際に気負うことはありませんが、ご主人の石山竜也氏がかの名店「神楽坂石かわ」一派の出身との事前情報に襟を正す思いで暖簾をくぐったのでした。

 

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先付は毛蟹と「みず」。

「みず」は秋田で好んで食される山菜のひとつ。

しゃきしゃきした食感が食欲を呼び覚ましますね。

 

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秋刀魚の春巻とウドの花。

春巻の半分は秋刀魚と松茸、半分は秋刀魚と香茸と言う趣向です。

香茸もその名の通り香りの良いきのこですが、華やかさでは松茸でしょうか。

 

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この夜の椀種は松茸と甘鯛でした。

存在感の有る大きさと素晴らしい香りの松茸、旨味をたっぷりと湛えた甘鯛に負けず印象に残る芳醇な出汁の味わいは前半の料理のハイライト。

 

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こちらは出汁漬けにしたいくら。

 

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お造りはくえ、焼き霜造りの鰆、真鯛。

いずれも甲乙付け難い味わいでしたが、この日は甘みのある真鯛が非常に美味でした。

 

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焼きものは金目鯛。

繊細なお造りの味わいから一転、力強くまた香り高いひと品は鮮烈な印象を残します。

 

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炊合せには鴨と芹、そして11種類ものきのこ。

鴨の鴨らしい味わいを引き立てるのはこちらも滋味深い出汁の風味。

 

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そしてその滋味深いお出汁は雑炊に。

これ、お代わりしたくなります。

 

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柿と栗を使った甘味で本日のコースは完成。

いずれの料理も素材の持ち味を最大限に活かした、繊細かつ確かな技術が伺える上質なものでした。

 

お会計はだいぶ良い感じで日本酒を頂いて1万円代半ば。この料理のクオリティを考えたらお値打ち価格ではないでしょうか。

四季折々に訪問したくなるような佳店ですが、予約がなかなか取れませんので次回の訪問はだいぶ先になりそうです。

 

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・店名   荒木町たつや

・住所   東京都新宿区荒木町10

      タウンコートナナウミ 1階

・電話   03-6709-8087

・備考   予約はお早めに。

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