この日は前からずっと訪問したかったレストランで夕飯を頂くために品川へ。
品川駅界隈もリニア新幹線やら高輪ゲートウェイ駅(それにしてもどうにかならないんですかねこの駅名)の開業を受けて再開発が始まっていて、実は本日のお目当のお店ももともとの駅前のビルから少し離れた場所に移転したばかり。
店内はカラフルな電飾が施され、なにやら怪しくも楽しげな雰囲気。
このご時世ですが店内はほとんどのテーブルが埋まっていて大盛況でした。
お通しのちょっとウマい搾菜でもつまみながら料理を選んでいきましょう。
まずは前菜がわりにこちら。
思いのほか鮮やかな辛さ。でもこの辛さが食欲を刺激しますね。
そして餃子ももちろんオーダ。
餃子は焼き餃子が2種類。
水餃子は4種類。
まずは野菜餃子からいってみましょう。
どちらかと言うと主役は「肉餃子」なのかな、と思いながらこの「野菜餃子」、頂いてみたのですが、予想は良い意味で裏切られました。
この野菜餃子、具材のバランスが絶妙。ちょっと多めの香味野菜が良い味を出しています。
個人的には焼き・蒸し餃子に関してはあまりもっちもちしている皮は好みではないのですが「餃子マニア」の皮は存在感がありつつも余計な厚みが無く好印象です。
「肉餃子」ももちろんウマいことはウマいのですが、最初に頂いた「野菜餃子」が望外にウマかったので、こちらはちょっと印象が薄くなってしまいました。
そして水餃子も。
オーソドックスに具材は海老をチョイスしました。
海老の旨味が濃厚に詰まった水餃子はリッチな味わい。
〆め的な料理についても「魯肉飯」や「極・鶏スープ」などちょっとウマそうなメニューが取り揃えられていてそそられます。
ちょっとかわいらしいサイズなので、もう少しボリュームがあると良いですね。
でもちまきがメニューにあるなんて嬉しいですよね。
この日はグルメな友人たちにお誘い頂いて麻布十番へ。
例年この時期は友人たちとゴハンやら忘年会を楽しんでいたのですが、こんなご時世で忘年会は自粛。
その代わりと言ってはなんですが、この夜は1年の締めくくりにふさわしい上等な料理を楽しむことにしたのです。
ディナーのコースは前菜3〜4皿とメインディッシュ1皿からなる「menu Saison」(8,500円)と、メインディッシュが魚料理、肉料理の2皿となり「ラ・リューン」のオススメのメニューを中心に組み立てられた「menu La Lune」(10,000円)の2種類。
そう言えば、最後にフレンチを食べたのはいつだったろう。こんなご時世でたまの贅沢だから良いですよね?
「menu La Lune」(10,000円)、行っときますか。
前菜のひと品目は「ラ・リューン」のスペシャリテ。
雲丹の濃厚な甘さと南瓜のふくよかな甘さ、ふたつの異なる甘みから構成される前菜ですが、南瓜はソルベにされているためその甘さにすっきりとした切れ味が有り雲丹の味わいを引き立てます。
スペシャリテらしい完成度を誇るひと皿。
温かい前菜は鮑から。
鮑の滋味に、バターと肝のペーストの芳醇な香りが添えられた格調高い前菜です。
この日のフォアグラは栗のムースと合わせられていました。
フォアグラの濃厚な旨味とねっとりとした舌触り、そして滑らかな栗のムースの舌触りと上品な甘さが一体となってリッチな味わいを醸し出し、シードルビネガーの風味がそれぞれの食材を爽やかにまとめあげています。
結論から書きますと、この魚料理が実に上等でした。
個人的な嗜好で言いますとどちらかと言うと魚料理<肉料理なので、たいていいつも肉料理のほうが食後感としては強いのですが、今回いちばん印象に残ったのがこのひと皿。
この夜の使われていた食材は今治の鱸。「藤本さん」とは今治のカリスマ漁師で、この方の獲った魚はたいへん貴重なものと言われています。
初夏から夏に掛けてが旬と言われる鱸ですが、この日の鱸は身にしっかりとした鱸らしい味わいが感じられる上等なものでした。
パリッと香ばしい鱗としっとりと繊細な食感の身はコントラストが鮮やか。
蛤の風味のソースも滋味深く上等です。
ちなみに神経〆めだと鮮度を長く保てると言うメリットがあるそうです。
良い獲り手の技と、良い作り手の技がひと皿の中に結実した作品です。
ポルチーニ茸のパウダーが振り掛けられた小さなスープ。
優しくも香り高いスープに肉料理への期待が高まります。
「ラ・リューン」を訪問するときはたいてい肉料理にジビエを頂いていて、この日もコースメニューの肉料理をジビエに変更することもできるとのことだったのでちょっと悩んだのですが、たまにはジビエ以外のものも良いかな、と思い、コースに組み込まれている短角牛のポワレを変更せずに頂きました。
ポワレされた短角牛からは、たっぷりとしたポーションとしっかりとした身の食感が相まって肉を喰らう喜びが感じられます。食べ応えがありますね。
ソースはフォン・ド・ヴォーを使ったもので、格調高くシェフの丁寧な仕事ぶりが伺える上質なテイスト。
非常に良質のメインディッシュでしたが、前に頂いたジビエのウマさを思い出すにつけ、やはりジビエを選んでも良かったかな、と言う気持ちがふと鎌首をもたげるのでした。
ジビエはまた次の冬の楽しみに取っておきましょうかね。
パリッとキャラメリゼされた表面を割るとりんごの中にはクリームブリュレ。
充実したコースの締めくくりにふさわしい上質なデセールでした。
久しぶりに訪問した「ラ・リューン」でしたが、相変わらずの料理のクオリティに大満足。
奇を衒い過ぎることなく、ひとつひとつの素材の持ち味を丁寧に活かして構築された料理はいずれも品格を感じさせる出来栄えでした。
麻布の良心ですね。
───────────────────
・店名 ラ・リューン
・住所 東京都港区東麻布2-26-16
・電話 03-3589-2005
・備考 麻布の良心。
・参考記事 2015年02月13日「東麻布 ラ・リューン(前編)」
2015年02月16日「東麻布 ラ・リューン(後編)」
───────────────────