本日は29…にくの日にふさわしいブログでもいってみましょうか。
昨年2021年10月にオープンするや、マスコミなどでも大々的に取り上げられて一瞬で予約の取れないレストランになってしまった「ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京」。
生来のあまのじゃくなので、話題のレストラン、下世話な言い方ですと「いま行っておくとちょっと自慢できるレストラン」みたいな店に行くことは稀で、この「ピーター・ルーガー」もぼく的には縁遠いレストランだと思っていたのですが、自粛生活であまりにもやることが無かったので、ついついホームページの予約システムを確認してしまったのです。
噂通り数ヶ月先まですべてのテーブルが埋まっているのを確認して一度はそっとホームページを閉じたのですが、日を改めて何度かチャレンジすると、瞬間的にポツポツとキャンセルが出ていることを発見。
そりゃ、数ヶ月先の予約日なんて、どんなスケジュールが被るかわからないもんねえ。
そんなわけで思ったより早めに予約が取れてしまったので、この日は仕事もきっかり18時で切上げ恵比寿に向かったのでした。
恵比寿駅東口から動く歩道で恵比寿ガーデンプレイス方面に出て、日仏会館方面に歩くと…お!見えてきましたピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京。
ここ、もともとは「MLB café TOKYO 恵比寿店」が有った場所ですね。
外観はもともとの建物に少し手直しした程度ですが、なかなかゴージャスで雰囲気が有ります。
こんな異国情緒のある建物が街並みに違和感なく溶け込んでいるところはさすが恵比寿。
初心者なのでエントランスを間違えました。
道路に面しているこちらの出入口はショップの入口でした。
レストランのエントランスは中庭に面したこちらでした。
うーん、素敵。
レストラン好き、にく好きのかたには説明不要と思いますがピーター・ルーガーはニューヨーク、マンハッタンで130年の歴史を誇る老舗ステーキハウス。
その超名門ステーキハウスが初の海外出店に選んだのがここ東京。なんだそうです。
ちなみに日本での運営会社は「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」などで知られる株式会社ワンダーテーブルです。
ぼくたちが案内されたメインダイニングは2階。
メインダイニングの天井は3階まで吹き抜けになっていて、その3階は2階のダイニングを見下ろせる「劇場型」のレイアウト。非日常感の有る素晴らしい空間です。
細かいことですが椅子の掛け心地も素晴らしい。
ステーキハウスの定番と言えばサーロインとフィレを両方楽しめる骨つきのステーキ、いわゆる「Tボーンステーキ」ってやつですよね。
このTボーンステーキと言うスタイルをアメリカで最初に広めたのがピーター・ルーガー。
ピーター・ルーガーのTボーンステーキはひとり当たりのボリュームを約300gとして3種類の大きさから選ぶことができます。
- Steak for Two (29,000円)
- Steak for Three(42,000円)
- Steak for Four(56,000円)
ひとり当たりのお値段に換算しますと…。
- Steak for Two (14,500円)
- Steak for Three(14,000円)
- Steak for Four(14,000円)
となります。どれを選んでもそんなに変わらないですね。
天下のピーター・ルーガーでこんなみみっちい計算をしているのはぼくくらいだと思いますが(笑)。
Tボーンステーキですとサーロインとフィレ、赤身がちの部位になりますが、もう少しパワフルな部位ですと「リブアイステーキ」も用意されていて、こちらはだいたい500gで18,000円。
この日はボリュームもまあまあ行ける男子4人組での訪問だったので「Steak for Three」と「Rib Steak」と言うコンビネーションで攻めることにしました。
900g+500g=1,400g。ひとり当たり350gと言う計算です。
ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京のメニューはニューヨークの本店のものに忠実に倣っていて、前菜のラインナップはシンプル。
サラダ類、ジャンボシュリンプカクテル、ラムチョップと言ったところでしょうか。今回はステーキをおいしく頂くために前菜はあっさりめで。
- Caesar Salad, Grated Pecorino Romano(1,600円)
ボリュームは4名でシェアしてもたっぷり。
酸味の強いはっきりとした味わいです。
シーザーサラダを食べ終えるや否やすぐに香ばしい香りと共にメインディッシュが登場。
- Steak for Three(42,000円)
サイドディッシュは2種類。
- Fresh Broccoli, in Season (Steam or Saute)(1,400円)
- Creamed Spinach(1,400円)
ピーター・ルーガーのステーキはいちどブロイラーと呼ばれる直火オーブンに入れて500度の高温で外側をしっかり焼き、その後肉をカットし溶かしたバターと共に皿に乗せたまま再びブロイラーに入れ、数分間焼いた後にその皿でテーブルにサーブされます。なので、皿の縁まで飛び散った油の焦げ跡が有りますね。
こちらはリブアイステーキ。
- Rib Steak(18,000円)
Tボーンステーキもリブアイステーキも焼き加減はミディアムレアでお願いしたのですが、リブアイステーキのほうがレア感が強いですね。と言うか、こちらが本来のミディアムレアかな。
テーブルにサーブされたステーキはスタッフの手によって皿の縁で少しだけ熱を加え、ひとりひとりの皿へ。
左手がリブアイ、右手がサーロイン、サーロインに隠れていますが、奥がフィレ。となります。
まずはサーロインからひと口。
…。
…。
うーん。こんなものか?
もしかしたらぼく自身の体調が悪いとか、このご時世ですし、そう言うこともあるかもしれません。
若干心配になったのでグルメな友人に感想を求めると、感想は…店を出たら言います、と微妙な表情。
まずサーロインですが、肉質は詰まっており固め。
ピーター・ルーガーのステーキは、店舗1階の熟成庫で28日以上のドライエイジングを掛けているそうですが、ドライエイジングゆえの肉質の凝縮感は確かに有るのかもしれません。
しかし、それであれば肉自体の旨味もギュッと凝縮されているはずですが、その肝心の旨味の凝縮感が感じられない。
そして熟成香に関しては「雑味を感じる不要な熟成臭」はカットするのがピーター・ルーガー流とありますが、香りも乏しく、ウリであるはずの熟成の恩恵を感じられなかったと言うのが本音です。
フィレのほうがもちろん肉質はしなやかですが、味わいについての傾向はサーロインと同じです。
火入れについてはTボーンステーキは少し強すぎだったかもしれません。
断面を見て頂くとおわかりのように、ミディアムレアではなく、ミディアム〜ミディアムウェルと言った感じです。
救いだったのはお値段が安いリブアイがまずまず悪くなかったこと。
リブアイのほうが味わい、香りともに豊かでした。
この日訪問したメンバーのなかのひとりはアメリカで有名どころのステーキハウスを歴訪している猛者なのですが、食後感はぼくと似たり寄ったり。でした。
そんなぼくたちは、満席続きでエイジングが足りていない、食品流通の混乱で本来調達したいレベルのプライムビーフが入手できていない、焼き手の経験不足、と言った仮説を打ち立てたのですが、後日、業界のかたにこの日の憤懣をぶちまけたところ(笑)、そのかた曰く、日本の気候に合わせたエイジング設備、エイジング手法の合わせこみが完全にできていないのではないかな、と言う意見を述べておられました。
ちなみに2種類オーダしたサイドディッシュは悪くなかったです。
ソテーにしたブロッコリも後をひく味わいでしたし、クリームを使わず澄ましバターで仕上げる「クリームドスピナッチ」(ほうれん草)もまずまず。
気を取り直してデザートです。もう腹いっぱいですけど。
- Cheese Cake(1,400円)
- Chocolate Mousse(1,400円)
- Ice Cream(1,400円)
デザートは3種類を4名でシェア。
ケーキ類にはたっぷりのクリーム。アメリカンですねえ。
こんなビジュアルですし大味なイメージがあるじゃないですか?
でも、デザートはいずれも上等。
もちろんアメリカンスタイルの重量感たっぷりの甘さなんですが、品のある甘さで腹いっぱいにもかかわらずおいしく頂きました。
前菜も上等、サイドディッシュもまずまず、デザートも良かった。言うまでもなく雰囲気は最高。
つまり、ステーキ以外はけっこう良いです(笑)。
あとはサービススタッフ。
若いスタッフが多くフレンドリーなところは良いのですが、とても客単価2万円オーバのレストランのサービスとは思えない大味具合。でした。
会話を遮ってまでポイントサービス(そんなものが有るのですよ)への登録をリクエストされたり、ね。
高級店なら高級店らしい格調のあるサービスをお願いしたいものです。
こちらの期待値が高すぎたせいかだいぶがっかりしてレストランを後にしたのですが、別の日に訪問した友人によると、その日のTボーンステーキはかなり良かったとのこと。
タイミングが悪かったのか、それとも重要顧客とは認められず良い部位が出てこなかったのか、真相は闇のなかですが、今回の料理がピーター・ルーガーの本来の実力とも思えません。
料理のクオリティやオペレーションが落ち着いた頃にもう一度訪問したいですね。
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・住所 東京都渋谷区恵比寿4-19-19
・電話 050-3311-3744
・備考 特になし。
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